インタビュー

The Innovators Vol.1 「パラダイスロード創業者シャーンス・フェルナンド氏」

THE INNOVATORS 第一回目は、スリランカを代表するデザイナー。白と黒のストライプのバティックや、シンハラ文字を使った雑貨で知られる PARADISE ROAD(パラダイス・ロード)の創業者 Shanth Fernando 氏(シャーンス・フェルナンド)。アートコレクターとしても知られ、次世代を担うアーティストの育成にも尽力されている。スリランカを代表する建築家ジェフリー・バワとも親交があった。

 

デザイン、アートに興味を持ったのはいつ頃からですか?

子供の頃、私は絵を描くのが好きでした。そんな私に母が紙やペンなどを買い与えてくれました。学生時代にはマウントラヴィニアの名門私立学校のセント・トーマスに通っていて、そこで毎年賞をもらっていました。それがデザイナー、アートコレクターとしての私の原点だと思います。

 

デザイナーとしてのキャリアをスタートする前に、最初にホテル業界に入ったのはなぜですか?

実は最初は広告会社で働いていました。その後は20歳の時に転職をして、16部屋のゲストハウスの運営を担当する仕事をしていました。その経験から21歳でマウント・ラヴィニアにある別のゲストハウスを経営することになりました。そこから自分に更なる成長を目指してヨーロッパへ旅をした後に、オランダのホテルスクールに入学をしました。そこでオランダ語も学んだので、今でもオランダ語を話すことができます。

 

とてもアクティブですね。ヨーロッパの中でもオランダを選んだ理由はありますか?

なんとなくですが、イギリスではないなと思い(笑)。その次に頭に浮かんだのはオランダでした。そしてオランダで今の妻に出会って結婚をしました。それからはニュージーランドに移住して現地のホテルで働いた後、オーストラリアへ移りました。オーストラリアには10年間住み、そのうち最初の5年間はホテルで働き、後半の5年間は子供の玩具をヨーロッパから輸入するビジネスをやっていました。

 

運命的な出会いですね!そういった経験からパラダイス・ロード創業に至ったきっかけを教えてください。

オーストラリアからスリランカへ出張に行った際、地元のアーティストたちの作品を見て自分のルーツに可能性を感じました。そこで、スリランカの伝統的なデザインに、インターナショナルまテイストを加えたオリジナルブランドを立ち上げることにしたのです。私が目指したのは、「色褪せない普遍的なデザイン」。ジョルジオ・アルマーニやプラダのような、ギミックではないクラシックなデザイン。ファッショナブルでカラフルなものではなく、モノクローム。ブラック&ホワイト。「Timelessness(タイムレスネス)」がパラダイス・ロードのコンセプトです。

 

閃きから実際に行動へ移る、シャーンスさんの行動力がうかがえます。他にもパラダイス・ロードを特徴付けるコンセプトはありますか?

私はコマーシャリズムが好きではありません。ニューヨークからブルーミングデールズ(bloomingdale’s:アメリカ合衆国に店舗を保有する百貨店チェーン。)がきたり、ロンドンからコンランショップ(THE CONRAN SHOP:イギリスの家具、インテリアショップ)がきて、パラダイス・ロードをニューヨークやロンドンで売りたいと話をいただきましたが、断りました。何故なら私たちの製品は、ハンドメイドで生産量が限られているからです。パラダイス・ロードの代名詞となっている黒と白のストライプのバティックは、ペインティングではなく一つ一つが手縫いされています。先ほどタイムレスと言いましたが、パラダイス・ロードの取り扱い商品の内90%の商品が創業時から取り扱っているもので、今まで僅か10%しか入れ替えをしていません。また、飲食店舗のPARADISE ROAD THE GALLERY CAFE(パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェ)のフードメニューも80%は創業時から変わっていません。デザートメニューは妻が担当していますが、それ以外のフードメニューは私のレシピです。

 

新しいものが常に発掘される昨今に、ブランドコンセプトを貫くことは簡単なことではありませんね。とても勉強になります!話が変わりますが、建築家ジェフリー・バワとの出会いについて教えてください。

ジェフリー・バワが私たちの家にディナーを食べにきたのをきっかけに、彼とは家族のような付き合いをしてきました。また彼は私たちの顧客の一人であり、私たちのクッションカバーを彼のデザインする建築でも使ってくれていました。彼はスリランカのデザインに革命的な変化を起こし、スリランカのアイデンティティー、スリランカのスタイルを確立していきました。ただ、それは彼一人では全てなされたのではなく、バーバラ・サンソーニ、エナ・デ・シルヴァ、ラキ・セナナヤケからなるTeam Geoffrey Bawa(チーム・ジェフリー・バワ)によって作られたものです。私はこの偉大なチームを敬愛しているので、彼との関わりのあるザ・ギャラリー・カフェやザ・ヴィラを運営できていることを誇りに思います。

 

チームといえば、シャーンスさんのファミリーはまさにデザイナーズファミリーですよね!

長女のアンニカはインテリアデザイナーでPR(ピーアール)というファッションコンセプトストアを経営し、Maus(マウズ)というセルフデザインのレーベルを持っています。次女のサスキアはアートギャラリーを経営し、Papillon du The(パピヨン・ドゥ・ザ)というジュエリーレーベルを持っています。娘たちと私はジェネレーションが違うので、手法は異なるとしても、脱コマーシャリズムスタイルを確立するという点では共通していると思います。娘たち含めパラダイス・ロード・ギャラリーズ(カフェに併設されたギャラリー)からはたくさんのアーティストが育っていきました。次女のサスキア・アート・ギャラリーでも次世代を担うアーティストを常に発掘しています。

 

最後に次世代を担う若者たちにメッセージをお願いします。

“Follow your spirit(自分自身の信じる道を貫くこと)”それが一番大切です。そして自分自身は自分が責任を負っていることを認識すること。お金儲けはそのあと。まずは自分の道で結果を出すこと。そうすればお金はあとからついてくるでしょう。

 

 

Shanth Fernando(シャーンス・フェルナンド)

1949年にコロンボのシンハラ人の両親の子として生まれる。1987年に雑貨店PARADISE ROAD(パラダイス・ロード)を創業。1998年にジェフリー・バワの旧オフィスを改装したPARADISE ROAD THE GALLERY CAFE(パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェ)をオープン。続いて、2007年に全部屋スイートルームの高級ブティックホテルのPARADISE ROAD TINTAGEL COLOMBO(パラダイス・ロード・ティンタゲル・コロンボ)をオープンし、2009年にはバワ建築のPARADISE ROAD THE VILLA BENTOTA(パラダイス・ロード・ザ・ヴィラ・ベントタ)をオープンさせた。

 

※ 撮影:石野 明子(Studio Fort)

 

 

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